自賠責保険料は未来の事故を予測して決められます

・自賠責保険は原動機付自転車を含むすべての自動車が加入しなければならない義務があります。自賠責保険料2008年4月契約分から、平均して24.1%引き下げられました。実に12年ぶりの自賠責保険料の引き下げです。そして、1969年以降で最も低い水準だそうです。

 

・ところが、2007年度は、自賠責保険料は本来、さらなる引き上げが予定されていた年度でもあります。なぜ、それが引き下げられたのか?自賠責保険料の決め方と、今回の引き下げになった要因について確認しておきましょう。

 

・自賠責保険料は、過去の交通事故の実績を調べ、今後発生するであろう交通事故に支払う保険金を予測して『基準保険料』を計算するシステムになっています。

 

・自賠責保険からの支払件数や支払い額は増加傾向にありました。保険料は本来ならすっと引き上げられ続けられてもおかしくはないのです。下記の図の用に、2001年までは、自賠責保険料が低く抑えられてきたことが分かります。これは、これまでに蓄えられた運用益などで運営されていたことによります。

 

・しかし、2002年度は、政府再保険制度の廃止などを行い、この制度改定時に「自賠責保険金の支払いと保険錠のバランスが取れていないのはおかしい」との指摘があり、ちゃんと収支のバランスを取るように基準保険料を設定する方針に変更されました。

 

・上記に記載したことにより自賠責保険料が引き上げられることに転じることとなりました。ここで注意したいのは『保険料充当交付金』の存在です。

 

自賠責保険料の推移

・過去の自賠責特別会計の累積運用益は1兆700億円を資金源とした『激減緩和措置』により、政府から自賠責保険の契約者にたいして、2002年〜2007年度の6年間にわたり『保険料充当交付金』が交付されていたのです。これが2008年度からは交付されなくなります。

 

◆自賠責保険料の推移(2年契約の自家用乗用車の例、沖縄・離島を除く)

 

・これまでは自賠責保険の契約者の負担額は上記の図のように、2002〜2004年度は27.630円・2005年度は29.780円・2006年度は30.680円・2007年度は31.730円とわずかながら増加傾向にあります。『保険料充当交付金』が廃止になる2008年度には、31.730円が自賠責保険の契約者の負担する保険料となる予定でした。

 

・しかし、『基準保険料』自体を引き下げることが決まった為、結果的に22.470円と大幅な保険料の引き下げとなったのです。

 

自賠責保険料の引き下げとなった要因

・今回の自賠責保険料の改定で『基準保険料』がここまで引き下げられることになった最大の要因は、人身事故の減少と保険料の運用が順調に推移したことが挙げられます。

 

・飲酒運転の取り締まり強化などで、自動車事故による死亡者の減少し、2007年には、交通事故死者数は5744人で54年ぶりに6000人を下回りました。したがって、自賠責保険金の支払いが少なくなったというわけです。

 

・料率検証結果による予定損害率が、当初見込んでいた予定損害率よりも20%以上低くなったことが、基本保険料に反映された形になったのです。

 

・また、2006年12月より、通常の自賠責保険にJA共済などの自賠責共済が統合されました。このことで、累積収支残高や累積運用益がさらに大きくなり、予想以上に保険金の運用が順調に推移したことも、今回の保険料の引き下げにつながった要因の1つといえるでしょう。

 

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